春は狂気。 蕾が綻び、花を広げ、子孫を残すため 我こそはと、虫を呼ぶ。 眠っていた動物たちは、死へ近づくために 再度活動を始める。 私はコートを脱いで、生ぬるい空気に犯される。 昇格とか週末の飲み会とか、 どうでもいいことを頭の片隅に置きながら、 電車にゆられ、時の流れと人ごみに紛れて、 何のために生きているのか、 忘れたふりをする。